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時々ものすごい間違いをするのはなぜか? [留学計画]

最近、フィリピン語nativeのL先生とメールのやり取りする機会が増えています。
1年ほど前から課題をメールで提出する時に、自由ピノ作文の練習を兼ねて末尾に2〜3行、近況や感想を書いてきました。最近はそれが何となくメールのやり取りに発展するようになりました。

L先生は任期満了で3月いっぱいで帰国されるのですが、最後の授業で一人ひとりの学生にお手紙をくださいました(もう涙、涙・・・)。そのレスポンスをしたり。留学について相談したり(家庭崩壊??しないか、危ぶんでくださっています(笑))。

また、実は私は4月上旬に短期間のマニラ旅行を計画しているのですが(子どもと二人で)、先生が大学や街を案内してくださるそうで、その業務連絡もあったりします。そんなこんなで、ピノ語と英語半々のメールをやり取りする機会が増えています。

で、ここからが本題なのですが、時々、ものすごく初歩的な間違いをしてしまうのですよ〜。L先生はとても優しいので課題以外の部分の間違いは基本的に指摘されませんが、自分で読み返したり、思い返したりしてハッと気づくのです。気づかないものも含めるときっとすごい数でしょうね。

この前書いてしまった、ひどい間違いがこれです。
Ito po si totoong pakiramdam at isip ko.
ito:これが po:敬語 si:英語でいうbe動詞のようなもの totoo(ng):本当の pakiramdam:感情 isip:考え ko:私の(英語のmyですね)

つまり「これが私の本当の感情と考え方です」と書きたかったのです。
ところがこれが、1年前期レベルの初歩的な間違いだったのです(ああ〜、恥ずかしい)。

1. siはあとに固有名詞がきます。si Maiという感じです。で、Ito po si・・・というのは目上の人に誰かを紹介する時のコロケーションです。あとに普通名詞がくる時にはangというbe動詞的な語を使います。

2.フィリピン語ではいくつかの短い語(小辞と言います)は、句中で2番目の位置を取ります。小辞が続いた時の優先順位も決まっているのですが、koは最優先の小辞です。つまり、上のような文でkoが最後にくることはあり得ない!!ちなみに「私の感情」だったらpakiramdam koで正しいのですが。

この2項目は本当に初歩の初歩の重要ポイントで、イヤというほど習います。それをまあ、見事にミスってしまったわけで、なんともまあ情けない・・・。
上の文は(たぶん)正しくは
Ito po ang totoo kong pakiramdam at isip.
となるはずでしょう。koにngがついているのはリンカーといって単語を結ぶ接着剤のようなものでこれまた、ついたりつかなかったり、ややこしいのですが、その話はまた・・・。

「うわ〜ん、なんでこんなおバカな間違いをするの〜」と落ち込んだところで、本来私の主専攻である(はずの)日本語教育学で読んだ教科書の内容を思い出しました。

長く書く時間的余裕がないので、ポイントを箇条書きにしてみます。
・学習者の第二言語能力の総体を「中間言語」(Interlanguage)という。「中間言語」は学習者の母語の体系とも目標言語の体系とも違う独自なシステム。←まさにいまの私のピノ語能力のことですね。

・学習を開始したばかりの学習者が限られた第二言語の知識でコミュニケーションを図る場合、学習者の発話は当然、多くの文法標識が抜け落ち、単語が短く並んだブロークンなものになりがち←ああ、耳が痛い! しかし、初期の学習者であっても、決まった言い回しは適切に流暢に使える現象が見られ、これを「定型表現」(formulatic chunks)という。←"Ito po si・・" がまさにそうです。教科書に出てくる普通の言い方では敬語のpoはつけないので"Ito ang・・・"は出てきやすいのですが、先生あてなのでIto poと書いたために、人を紹介する定型表現の"Ito po si・・・"となってしまったのでしょうね。

と、落ち込んだ?ところで、この優しい教科書は次のような救いの手を差し伸べてくれています!
・U字型発達:学習者が一時期、ある文法項目を習得したかのように正しく用いていても、さらに別の新しい文法を習得する過程の中でこの習得していたかに見えていた文法に誤用が生じる現象。→英語の例で、eat→ate→eated→ated→ateという段階が例示されています。

言語の文法は互いに関連し合ったものなので、学習者は新しいルールを習得する際にすでに身につけている言語知識全体を再構築することが必要で、その過程で誤用が生じると考えられる。できていたものが一度できなくなり発達が後戻りしたかのように見えるのですが、実際にはこの後戻りは学習者の言語知識全体が発達していることを示すもので、やがて正しい形へど結びついていくのです。こういった言語発達の特徴をU字型発達と呼ぶ。

ううぅ〜、何と優しい説なのでしょう。日々、ピノ語の間違いにめげるのですが、U字型発達説に励まされて頑張ることにしましょう!

ちなみに、テストでこの文章が出たらたぶん間違わないと思うので、「学習者が発話時にどのくらい発話に注意を向けているかという心理的要因」もあるのでしょうね。「最も注意を払わない自由会話のような発話が学習者の中間言語の実態を反映するものである」とも書かれていて、この間違いが私の実力だということも事実です。

くれぐれも化石化(発達が途中で止まってしまい、正しい形が習得されないまま定着する)しないように気をつけなくては・・・という警鐘も鳴らしてくれるこの本(新・はじめての日本語教育1)、なかなかの強者でしょうね。
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mai

shiraさん、niceありがとうございます!
by mai (2014-03-11 21:14) 

mai

ayu15さん、niceどうもありがとうございます♡
by mai (2014-04-13 23:35) 

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